オフィス移転成功を目指すチェックリスト作成と作業の流れはこれで完璧!

オフィス移転の成功には、チェックリスト作成と作業の流れの確認で「やるべきこと」の漏れを防ぐことが大切


オフィス移転の際は、やるべきことや手続きなどが多数あります。それらは互いに関連していることが多いため、うっかり一つのことを忘れるとそれに続く作業が滞ったり思わぬ費用の発生につながったりするかもしれません。

そのような事態にならないためにも、オフィス移転のスケジュール管理の際には作業内容や手続きをまとめたチェックリスの作成がおすすめです。チェックリストがあれば、一つずつ確認しながら作業を進められるため、やるべきことを忘れる心配が減るでしょう。

この記事では、オフィス移転の手順や流れに沿ったチェックリストの作成をくわしく説明します。ぜひ参考にしてみてください。

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オフィス移転の流れと手順

オフィス移転のチェックリストの説明をする前に、オフィス移転に必要な手続きや作業の流れを再確認しましょう。

オフィス移転のスタートからゴールまでの大まかな流れを把握しておくことで、チェックリストの項目に何を入れるべきかがわかります。

オフィス移転に必要な手続きや流れは、次の通りです。

完全退去日までの期間 現在のオフィスでやること 新しいオフィスでやること
~6カ月前
・解約予告通知を出す ・新しいオフィス探しの開始
5カ月前
・オフィス移転業者の選定
・見積もりの取得
・新オフィスの契約締結
3~4カ月前
・移転スケジュールの確定
・梱包作業の開始
・オフィスレイアウトの決定
・内装工事計画、見積もりの取得
・新しいオフィス家具等の発注
2カ月前
・オフィス移転の挨拶作成
・印刷物等の変更発注
・移転案内の発送
・内装工事
・回線工事等の最終仕上げ
・新しいオフィス家具などの搬入
オフィス移転当日
(1カ月前)
・オフィス引越し作業(搬出)
・原状回復工事見積
・オフィス引越し作業(搬入)
オフィス移転後 ・原状回復工事の完了  ・各種、必要な届け出

~6カ月前

オフィスの移転が決定したら、まず現在のオフィスの解約予告通知を出して、移転先のオフィスの選定に入ります。

解約予告が退去日の何カ月前に定められているかは、現在のオフィスの契約内容によります。3カ月から6カ月程度が多いですが、なかには10カ月前に通知しなければならない契約もあります。あらかじめ契約書で確認しておきましょう。

契約内容にもよりますが、原則として退去日には原状回復工事が完了していることが求められます。つまり、オフィス移転期間は、実際にオフィスの引越しをする日から1カ月程度加えた月数が必要です。それを見越したうえでオフィス移転のスケジュールを組むようにしましょう。

解約予告通知を出したら、移転先オフィスの選定に入ります。移転先オフィスを探す際は、物件の良し悪しに加えて、退去する時期に合わせて入居できるかどうかも大切なポイントです。予定に組み入れる内装工事にかかる日数は、長めに見積もっておくほうが良いでしょう。

5カ月前

移転先のオフィス物件の選定を進めて契約を完了させます。新しいオフィスの室内の状況や寸法がわかれば、レイアウトのプランニングや工事計画も同時に進めていきます。

また、オフィス移転や引越し業者の選定も開始しましょう。年度替わり明けの繁忙期にオフィスを移転する場合は、早めにオフィス移転業者を選んで押さえておくことが大切です。

3〜4カ月前

オフィス移転を依頼する業者と移転先オフィスの内装工事計画が決まれば、実際の細かいスケジュール調整と工事の実施に入ります。また、新しいオフィス家具や什器、備品などを入れる場合は、その選定と発注もしましょう。

移転作業スケジュールの詳細も決めていきます。オフィスの引越し日が確定すれば、普段の業務で使用しないものから順に梱包作業に入っても良いでしょう。

2カ月前

移転先のオフィスの内装工事を進めて完了させます。内装工事が終われば、電話やLAN回線工事の工事です。内装工事と同時に進める場合もあるため、業者に工程を確認しておきましょう。

工事がすべて完了すれば、新しく購入したオフィス家具や什器などを搬入します。新しいオフィスの室内や設備がある程度整えば、業務内容によっては少しずつ移行していくことも可能です。

1カ月前(オフィス引越し当日)

オフィスの移転作業を行い、現在のオフィスを空けます。壁やドア、設備などの撤去がある場合は、完全に空室になる前におおよその見積もりを出してもらっておいても良いでしょう。

ほとんどすべての荷物を運び出したら室内をチェックし、原状回復工事の細かい見積もりを出してもらいます。貸主と借主とで見積もり内容に合意したら、退去日(契約解除日)に間に合うよう、すぐに工事開始です。

オフィス移転後(1カ月程度)

旧オフィスの原状回復工事が終われば、貸主のチェックを受けて完了です。移転先の新しいオフィスでは、すでに通常業務が始まっている状態になります。

オフィス移転後は、関係省庁への移転手続きを忘れないようにしましょう。どこにどのような届出をする必要があるのかも、チェックリスト化しておくのがおすすめです。

オフィス移転のチェックリスト


ここでは。具体的なオフィス移転のチェックリストを説明します。現在のオフィスと新しいオフィス、移転作業、それぞれに必要な作業や手続きを挙げていくので、必要に応じて組み合わせてチェックリストを作成してください。

現在のオフィス関連のチェックリスト

まず、現在のオフィスで行うことのチェックリストは、次の通りです。

【オフィス移転までにすること】
□契約書を確認して解約予告通知を出す
□契約書で原状回復工事の内容や手配の確認
□契約書で保証金(敷金)の返還内容および方法の確認

【オフィス移転後にすること】
□原状回復工事の内容および見積もり確認
□原状回復工事完了の確認
□保証金(敷金)の返還確認

新しいオフィス関連のチェックリスト

移転先となる新しいオフィス関連のチェックリストは、次の通りです。

【新オフィスの契約関連】
□移転先となる新しいオフィスの物件選定
□賃貸借契約内容の確認および契約締結

【間取り・レイアウト関連】
□間取り、レイアウトの条件の確立
□スケジュールと予算の立案
□レイアウトプランの作成
□内装業者の選定および見積もりの確認
□内装工事の打ち合わせ

【新しいオフィス家具・設備の手配関連】
□新しいオフィス家具、什器等の発注
□電話会社、ネットワーク会社等の手配
□空調追加の確認
□セキュリティ関連の確認

オフィス移転作業関連のチェックリスト

オフィスの移転作業に関するチェックリストは、次の通りです

□引越マニュアルの作成
□ビルの管理会社への連絡(作業可能時間の確認等)
□エレベーター利用の確認
□廃棄物のリスト作成(処理方法を決める)
□荷物の行き先(部署、フロア)のラベリングの決定

オフィス移転連絡関連のチェックリスト

オフィスの移転作業に関するチェックリストは、次の通りです

□移転案内と送付先リストの作成
□印刷物の住所変更や住所変更シールの作成
□社判やゴム印、名刺の変更
□オフィス移転案内の発送
□ホームページなどWEB上の住所表記変更
□オフィス移転に関する届出

オフィス移転に伴う届出のチェックリスト


ここでは、オフィス移転で必要となる届出や提出書類等のチェックリストを説明します。ほとんどの届出は移転後になるため、新しいオフィスでの業務に追われて忘れがちです。チェックリストを作成しておき、届出漏れがないように注意しましょう。

法務局への届出

オフィス移転後、法務局へ届出しなければならないのは、次の申請書です。

□本店移転登記申請書

現在のオフィスを管轄している法務局に、必要書類(登記簿謄本・定款・印鑑証明書・株主総会議事録または取締役会議事録)を添えて提出します。同じ法務局の管轄内への移転であれば3万円、管轄法務局が変わる場合は6万円の収入印紙が必要です。オフィス移転から2週間以内に届出します。

税務署への届出

オフィス移転後に税務署に提出する書類は、次の2種類です。いずれも移転前のオフィスと新しいオフィス、両方の管轄税務署に提出します。

□事業年度、納税地、その他の変更異動届出書
□給与支払事業所等の開設・移転・廃止届出書

事業年度、納税地、その他の変更異動届書は移転後すぐに、給与支払い事業所等の開設・移転・廃止届出書はオフィス移転から1カ月以内に提出します。

各都道府県税事務所への届出

各都道府県税事務所(移転前のオフィスの管轄事務所)に提出する書類は、次の通りです。

□事業開始等申告書

こちらの書類は、オフィス移転日から10日以内に提出します。

社会保険事務所への届出

社会保険事務所に提出する書類は、次の通りです。

□適用事業所所在地・名称変更(訂正)届

こちらの届出は、オフィスの移転後5日以内に、移転前のオフィスの管轄事務所で行います。

労働基準監督署への届出

労働基準監督署へは、次のような届出が必要です。いずれも移転先のオフィスの管轄の労働基準監督署に提出します。

□労働保険名称・所在地等変更届
□就業規則変更届
□労働基準法に関するものの適用事業報告(様式23号の2)
□時間外労働に関する協定届
□休日労働に関する協定届

これらの届出は、オフィス移転後、速やかに行うことになっています。

□労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書

この申告書は、オフィスを移転後に保険関係が成立した日の翌日から10日以内に提出します。

□労働保険関係成立届

こちらの届出は、オフィス移転後、保険関係が成立した日から45日以内に提出します。

公共職業安定所への届出

公共職業安定所へは、次の届け出が必要です。

□雇用保険事業主事業所各種変更届

移転先のオフィスの管轄の安定所に、オフィス所在地の変更のあった日から10日以内に届出をします。

警察署への届出

社用車の駐車場利用があり、オフィス移転に伴って駐車場も移転する場合は、新しく借りた駐車場の管轄警察署に次の届出をします。
 
□自動車保管場所証明(通称、車庫証明)

新しく借りた駐車場の所有者への発行依頼が必要です。自動車保管場所証明書に記載された証明日から1ヶ月以内に提出します。

消防署への届出

消防署への届出は、オフィス移転前に行うものとオフィス移転後に行うものがあります。オフィス移転前に届けなければならないのは、次の3つです。

□防火対象物工事等計画届出書(内装工事開始の7日前まで)
□消防計画作成(変更)届出書(オフィス移転の7日前まで)
□対象物使用開始届出書(オフィス移転の7日前まで)

また、オフィス移転後には、次の届出が必要です。

□防火・防災管理者選任届出書(移転後、速やかに提出)

消防署への届出は、いずれも移転後のオフィスの管轄消防署に提出します。

郵便局への届出

移転前のオフィスに届いた郵便物を新しいオフィスに転送してもらうために、郵便局で次の届出を提出します。

□郵便物届出変更届

転送開始希望日の指定ができるため提出はいつもでも可能ですが、転送期間は届出日から1年間です。「転居届提出者氏名」欄には、代表者の氏名記入と押印をします。

オフィス移転チェックリスト作成のポイント


最後に、オフィス移転のスケジュール表やチェックリストを作成する際のポイントを説明します。少しの工夫で、オフィス移転を滞りなく進めるために作成したチェックリストを存分に活用することが可能です。ぜひ、参考にしてください。

目につくところに掲示しておく

作成したオフィスの移転スケジュールやチェックリストは、掲示するなどして常に目につくようにしておくと見落とす心配がありません。それぞれの担当者に配布していても、全体の共有スケジュールやチェックリストを作成しておき、全員に周知しておくと良いでしょう。

また、すでに完了したものや急ぎ案件にはマークをつけるなどの工夫をして、作業漏れがないようにしておきます。オフィス移転の責任者以外にも、チェックリストやスケジュールの確認担当者を設けるのもおすすめです。

役割別にチェックリストを割り振る

全体で共有するチェックリストやスケジュール表とは別に、それぞれの作業に担当者を割り振っている場合は、役割別にチェックリストも割り振って渡しておくのも一つの手です。その際は、やるべきことの指示を具体的に明記しておくと良いでしょう。

ただし、割り振っただけでは作業が完了したかどうかの確認ができないため、その都度、報告してもらうことが必要です。割り振る内容が多くなるほど確認作業が大切になります。

オフィス移転作業漏れ対策にはチェックリスト作成が効果的

オフィスの移転には、多種多様な手続きや作業が必要です。それぞれの作業が連動していることが多いため、漏れがないようチェックリストを作成して確認しながら進めていくと作業を忘れる心配が少なくなります。

オフィス移転スケジュールとチェックリストを作成したら、全員で共有することが大切です。配ったり掲示したりして、しっかりと周知させましょう。また、作業を割り振ったチェックリストを作成して配布した際は、きちんと実行されたかどうかの確認が大切です。

チェックリストを上手に活用してオフィス移転に必要の作業の漏れをなくし、スムーズに進めましょう。

オフィス移転手帳では、オフィスの移転を考えるにあたって必要な情報がひとつの冊子となって無料で配布しています。あわせてご活用ください。

(編集:創業手帳編集部)