成功するオフィス移転!流れ・スケジュール・段取りはこれで完璧

オフィス移転の成功には、全体の流れとスケジュールの把握が不可欠。オフィス移転で悩んでいる方は必見


オフィス移転が行われる理由はさまざまあります。しかし、いずれの場合でも言えることは、オフィス移転には多大な労力と時間がかかるということです。そのため、オフィス移転をスムーズに進めるためには、全体の流れを把握してスケジュールを立てる必要があります。

この記事は、オフィス移転がどのような流れで進むのか、いつ、なにをすれば良いのかなどの詳しい解説です。オフィス移転を滞りなく進めたい方は、ぜひ一読して参考にしてください。

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オフィス移転スケジュールを組む前に


オフィス移転の成功を目指したスケジュールを組むためには、まずオフィス移転の目的を明確にすることが必要です。なぜなら、オフィス移転の目的によって、移転先オフィスの選び方やレイアウトなどが変わってくるため、スケジュールにも影響を及ぼすからです。

まずここでは、オフィス移転スケジュールを組む前に、何を検討し、何を決めておくべきかを説明します。

なぜオフィス移転をするのか?

オフィスの移転には、何らかの理由があります。オフィスを移転する理由と目的を明確にしておかないと、いつ移転するのか、どこに移転するのかといったオフィス移転の計画やスケジュールの方向性がぶれてしまい、思い描いていたオフィス移転が実現できないことにもなりかねません。

オフィス移転の目的とケースは、大きく次の3つに分けられます。

  • オフィス拡大を目的として移転するケース
  • オフィス縮小を目的として移転するケース
  • 業務や環境の変化でオフィス移転するケース

オフィス移転と聞くと、オフィスの拡大や拡張をイメージする場合が多いでしょう。しかし、オフィス移転の目的はオフィス拡大だけとは限りません。働き方の多様化により社員がオフィスに出社する頻度が減った、紙で保管していた記録の電子化により資料置き場が必要なくなったなど、オフィスを縮小するケースも増えているのが現状です。

オフィス移転の目的は、新しいオフィス選びにも大きく影響します。明確化した目的を常に意識しながら、オフィス移転計画やスケジュールを立てていきましょう。

いつオフィス移転をするのか?

いつオフィス移転をするかも、オフィス移転のスケジュールを組む際の重要なポイントになります。なぜなら、いつオフィス移転を実行するかによって、日常業務への影響や移転費用が大きく変わってくるからです。

一般的にオフィスの移転が多く行われるのは、5月頃だと言われています。3月と4月の年度替わりが過ぎ、新入社員も入って新しい体制が落ち着いた頃を狙って移転する企業が多いのです。また、ゴールデンウィークを利用して、業務が休みの間に移転するケースもあります。

よって、4月から5月にかけてはオフィス移転業者や引越し業者の繁忙期となり、予約が取れなかったり通常よりも料金が高くなったりするため注意が必要です。現在のオフィスの契約期間とすり合わせながら、効率よくオフィス移転ができる時期を選ぶようにしましょう。

どこにオフィスを移転するのか?

オフィス移転の目的によって、移転先のオフィスをどこに構えるかが絞られます。新しいオフィス選びの際に欠かせないポイントになるため、しっかりと場所を見極めておくことが大切です。

オフィス拡大や縮小といった目的がメインであれば、現在のオフィスから離れていない場所を選ぶと、引っ越し作業が楽になり社員の通勤にも影響が及びにくくなります。一方、業務内容や取引先の変更に合わせた移転であれば、その目的に合った場所選びが必要です。

新しいオフィスを選ぶ際には、将来も見越したうえで、十分な広さと機能を兼ね備えた場所を選ぶようにしましょう。

どのようにオフィス移転をするのか?

オフィス移転計画を立てる際には、何を業者に任せて何を社内でするのかも決めておくようにしましょう。その際にポイントとなるのは、費用と労力、そして時間です。

費用はかかりますが、すべての作業を業者に依頼すれば時間と労力が節約できます。一方、移転先のオフィスが近くにあり、できるだけ費用を抑えたいのであれば、荷詰めや運べる荷物の運搬は社内で行い、大きな家具の搬入だけを業者に依頼するという方法を選ぶことも可能です。

どのようにオフィス移転を進めるのかによって、計画やスケジュールが変わってきます。移転費用の予算や移転に割くことができる時間や労力を考慮して、移転方法を決めましょう。

オフィス移転の流れとスケジュール


オフィス移転の大まかな流れと、移転完了前のいつまでに何をすれば良いかをまとめたものが次の表です。細かい移転計画やスケジュール立てる際の目安として、参考にしてください。

現在のオフィスについて 移転完了までの期間 新しいオフィスについて
管理会社または貸主に解約予告通知を出す 1年~6カ月前

オフィス移転計画を立てる

新しいオフィス探しを開始する

移転業者または引越し業者の選定

引越し日程の打ち合わせ

6カ月~4カ月前

物件候補の選定

オフィスの賃貸契約を締結する

荷物をまとめ始める 4カ月~3カ月前

オフィスレイアウトの決定

内装工事業者の決定

工事日程や内容の打ち合わせ

オフィス家具や什器等の発注

取引先などへのあいさつ

印刷物の変更発注

移転案内の発送

3カ月~2カ月前

内装工事

新しい家具や什器の搬入

荷物の運び出し 1カ月前(オフィス移転当日) 荷物の運び入れ
原状回復工事の実施 オフィス移転後(1カ月程度) 各種、移転届の提出

オフィス移転でやるべきことは全部で9つ


次に、オフィス移転の計画から実行、完了までのやるべきことについて見てみましょう。おもなオフィス移転でやるべきことは、次の9つです。

今のオフィスでやること

  • 解約通知を出す
  • 荷物の搬出、不用品の処分
  • 原状回復をする

新しいオフィスでやること

  • 物件を探して契約する
  • レイアウトと工事計画を立てる
  • 内装工事をする
  • 荷物や什器を搬入する

対外的にやること

  • 取引先などへのあいさつ
  • 関連省庁への移転届出

それぞれの「やるべきこと」について、詳しく説明します。

今のオフィスでやること3つ

オフィス移転に伴い、現在、入居しているオフィスでやるべきことのメインは、退去手続きです。どのような手続きが必要なのか、何に注意すればよいのかを説明します。

解約通知を出す

まず、今のオフィスでやるべきことは、ビルの管理会社や貸主への解約通知の提出です。賃貸借契約書に、解約についての取り決めがあります。退去する日の何カ月前までに解約通知書を提出しないといけないかを確認しましょう。

解約予告期間は6カ月程度のことが多いです。ほとんどの場合、完全に退去する日には原状回復工事を完了しておく必要があります。大規模なオフィスでなければ、原状回復工事の期間は1カ月程度もあれば大丈夫です。その期間も見越したスケジュールを立てておきましょう。

解約通知は、原則として書面で通知しなければ有効と見なされないことが多いです。月末に移転が決まり、書面での正式な解約通知の提出が月をまたぎそうな場合は、とりあえず電話やメールで管理会社やビルの貸主に連絡をして、書面での提出が遅れても大丈夫かどうかを確認することをおすすめします。

また、一度提出して受理された解約通知は、撤回できない場合がほとんどです。契約内容を確認したうえで、間違いのないように提出しましょう。

荷物をまとめて搬出する

オフィス移転作業の中でも時間と労力がかかるのが、オフィス内の荷物のまとめと搬出です。特に荷物をまとめる作業は、新しいオフィスに移ってからスムーズに仕事が始められるようにしなければなりません。

過去の資料や記録など、普段使わないものは早めにまとめておくようにします。オフィス移転を機に、紙の資料をデータ化するのも一つの手です。「eー文書法」や「電子帳簿保存法」などにより、これまで紙での原本保存が義務付けられていた文書の電子保管が可能になっています。オフィスの省スペース化のためにも、検討してみると良いでしょう。

搬出作業は業者に依頼するケースがほとんどです。どの荷物をどこに運ぶのか、誰が見てもわかるようにダンボール箱やガムテープを色分けしたりナンバリングしたりしておき、オフィス全体に周知しておくと、新しいオフィスでスムーズに荷物の開封ができます。

原状回復をする

現在のオフィスを退去したあとで必要となるのが、室内を借りた時の状態にもどす原状回復です。原状回復のための工事は、貸主側が指定した業者で行う場合や借主側で依頼した業者で行う場合など、いろいろなケースがあります。賃貸借契約書に記載されている内容を確認しておきましょう。

貸主側で依頼した業者が原状回復工事を行う場合は、工事内容や見積もりをしっかりと確認することが大切です。入居する際に設置した壁やドアなどの撤去費用や、賃貸中についた傷や汚れの以外の補修費用の請求がないかをチェックし、不明点があれば説明してもらいましょう。

原状回復時のトラブルを防ぐためには、入居時の室内の様子を細かく記録しておくことがおすすめです。新しいオフィスの入居する際にも、参考にしてみてください。

新しいオフィスでやること4つ

オフィス移転では、新しいオフィスに関するやるべきことが一番多くなります。移転先となる新しいオフィスでのやるべきことは、新しい賃貸借契約の締結と内装の準備です。ここでは、それぞれについて詳しく説明します。

物件を探して契約する

まず新しいオフィス関連のやるべきことは、物件探しとオフィス賃貸借契約の締結です。物件探しは、オフィス賃貸を得意とする不動産会社に依頼するほか、自分で探したりオフィス移転業者に探してもらったりすることもできます。オフィス移転の目的に合わせて、新しいオフィスに必要な広さや設備といった条件をあらかじめ決めてから探すと良いでしょう。

まれに、古いオフィスビルで将来的な建て替えが視野に入っている場合、普通賃貸借契約でなく5年や10年といった契約期間の定めがある定期借家契約が条件になることがあります。その間の契約更新料がかからない点はメリットですが、契約更新ができないため、再契約不可であれば契約期間満了で退去しなければなりません。

定期借家契約の場合は、諸々の条件をよく確認し、将来を考慮して契約することが大切です。

レイアウトと工事計画を立てる

移転先の新しいオフィスが決まれば、ビルの規約を踏まえたうえで、室内のレイアウトと工事計画を立てます。依頼する業者が決まっていない場合は、いくつかの業者に見積もりを依頼し、比較すると良いでしょう。その際に、大まかな工程表も出してもらうことをおすすめします。

オフィスのレイアウトは、一度決定すると頻繁に変更することができません。業務や人の流れを意識した動線を考え、オフィス家具やデスクの配置を決めることが大切です。電源やLANの接続ポイントなどもチェックしておきます。

日当たりの良いオフィスの場合、窓際の席が暑すぎたり眩しかったりすることもあるため注意が必要です。実際の移転先オフィスの室内をよく確認してから、レイアウトを決めるようにしましょう。

内装工事をする

新しいオフィスの内装工事計画が決まれば、ビルの管理会社か貸主に工事計画と内容、工程表を提出して許可を得てから工事を開始します。工事開始前に、できれば隣や上下のオフィスに工事をする旨のあいさつと連絡をしておくと良いでしょう。

また、可能であれば内装工事中に何度か足を運んで、工事の内容や進捗状況を確認することをおすすめします。不具合や変更の希望が出た場合、工事中であれば対応してもらえることもあるからです。

荷物や什器を搬入する

内装工事が終われば、新しいオフィス家具や什器と現在のオフィスからの荷物を搬入します。滞りなく搬入を進めるためには、運び入れる順番が大切です。先に何を入れるのかを確認しておきましょう。

搬入の際、オフィスの所在によってはエレベーターを使うことになります。移転先のオフィスビルにエレベーターが1台しかない場合は、搬入時、周囲に迷惑をかけることになるかもしれません。あらかじめ周知しておくために、管理会社にお知らせの掲示などの依頼をしておきましょう。

対外的にやること2つ

オフィスの移転は、物理的なものだけではありません。オフィスの移転に伴う周囲への連絡作業も必要です。最後に、オフィスの移転によって対外的にやること2つを説明します。

取引先などへのあいさつ

オフィスを移転する旨を、取引先や顧客などに連絡します。移転する間際にならないよう、1カ月程度を目安に早めに伝えておきましょう。

同時に、オフィスの住所が入っている印刷物などの変更作業も必要です。封筒や名刺など、前もって準備しておけるものから取りかかりましょう。忘れがちなのが、メールの署名やホームページに記載されている住所です。新しい住所といつからその住所になるのかをあらかじめ掲載しておくのも周知を兼ねた一つの手だと言えます。

関連省庁への移転届出

関連省庁への移転届出は、法務局や税務署、社会保険事務所などの届け先によって、いつまでに行うかが定められています。あらかじめ、いつまでに届出が必要かを確認しておきましょう。

ほとんどは移転後の届出で大丈夫です。しかし、消防署への届出のなかには、移転の7日前までのものがあります。遅れないように注意しましょう。

オフィス移転スケジュールの注意点


最後に、オフィス移転スケジュールを組む際の注意点を説明します。オフィス移転を成功させるために大切なことは、早めの行動と確認行動です。具体的にどのようなことに気を付ければ良いかを見てみましょう。

やるべきことをまとめておく

オフィス移転の際には、やるべきことが多々あります。それぞれの作業が独立しているとは限りません。一つの「漏れ」が思わぬ時間や費用のロスにつながったり、全体の流れに影響を及ぼしたりする恐れもあるため注意が必要です。

やるべきことの漏れがないように、チェックリストなどを作成しておくと良いでしょう。それぞれの項目に、誰がいつまでにやるのかを記しておくとわかりやすくなります。

計画とスケジュールには余裕が必要

オフィスの移転を成功させるためには、移転の計画とスケジュールに余裕を持たせることもポイントになります。いくら周到に計画を立てたり準備をしたりしていても、不測の事態や急な仕事によって遅れが生じることがあるからです。

余裕のあるスケジュールを組んでおけば、遅れやトラブルが出ても調整することができます。時間に追われて作業することにならないよう、できるだけ早め早めの行動を心がけることも大切です。

スケジュールを周知させる

オフィス移転は責任者や担当者だけで行うものではありません。スムーズに完了させるためには、会社が全体となって取り組むことが大切です。そのためには、移転のスケジュールやチェックリストなどを共有し、いつまでに何をすれば良いかを周知しておきましょう。

社員の数とオフィス移転の規模とは比例することがほとんどです。大規模な移転作業になるほど、誰が何をすべきかが曖昧になりやすいため、作業内容だけでなく連絡や確認系統も明確にしておくと良いでしょう。

オフィス移転の成功は計画とスケジュール管理から

オフィスの移転は、企業の大きさに関係なく一大事業です。できるだけ日常の業務に差し支えないようスムーズに進めて完了するためには、あらかじめ移転の流れを把握し、しっかりと計画やスケジュールを立てておくことが肝心です。

オフィス移転の目的を明確にしたうえで、いつまでに何をすべきかをまとめたチェックリストやスケジュールを作成し、漏れがないよう順序良く進めていきましょう。スケジュールには余裕を持たせて早めの行動を心がけると、不測の事態やトラブルにも対応できます。

移転スケジュールやチェックリストを共有して社内全体で協力し、オフィス移転の成功を実現しましょう。

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(編集:創業手帳編集部)